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「秋はいい女が似合う 2」 清水 敏夫
ピアニストの西村由紀江さんがドイツにわたり、明治の世に日本人の物理学者、田中正平によって作られた「純正調オルガン」を訪ねるというTV番組があった。田中正平は東大在籍中にドイツに留学し、森鴎外と交流を深めながらパイプオルガンの音階的不備の改造を試みる。異国で未知の楽器に遭遇し、その決定的な欠陥を改良しようとする学究スピリットに感動した。完成した新しいパイプオルガンはドイツ皇帝をいたく感動させた。折からドイツを訪れていた伊藤博文首相に「日本人は偉大である。田中正平を生んだ国であるから」と激賞した。
あいにく伊藤博文は田中正平を知らず、あいまいな返事をしていたら「ドイツ国民は皆が知っている田中正平を日本の首相が知らないとは」と驚嘆したという。田中正平は1899年に帰国し、日本の鉄道に大きく貢献したという。私はドイツには何度も行っているのに田中正平のことを初めて知り、その浅学さを恥じている。次に訪独したときにはベルリンでそのパイプオルガンを拝見し、日本人の偉大な足跡を見てきたいと思う。それにしても、まったく専門外の楽器の改良に挑むとは恐るべき知力である。それに西村由紀江さんの美しさと聡明さが印象に残る。
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